遺品をもらう場面は、人生の中でそう何度もあることではありません。そのため、「受け取るべきか迷う」「相続や手続きが不安」「トラブルが起きないか心配」と感じる方が多くいらっしゃいます。遺品は、故人の思い出が詰まった大切な品である一方、法律やマナー、保管方法などに注意が必要な場合もあります。
本記事では、遺品を受け取る意味やタイミング、税金や登録のポイント、管理のコツまでを分かりやすく解説いたします。ぜひ最後までご覧ください。
遺品を受け取る意味と形見分けの基本

形見分けは、遺された家族や親しい人たちが故人の思いを受け取り、気持ちに区切りをつける大切な儀式です。単なる物の受け渡しではなく、感謝や敬意を形にする行為でもあります。ここでは形見分けの目的や流れ、選ばれる品物についてご紹介いたします。
なぜ形見分けを行うのか?その目的と意義
形見分けは、故人をしのぶ大切な儀式として行われます。なぜなら、故人が生前大切にしていた物を受け取ることで、その人の思いや存在を心の中に残すことができるからです。単なる物のやりとりではなく、精神的なつながりを再確認する意味があります。
形見分けの目的は主に3つあります。第一に、遺された人たちが故人をしのぶための「記念」として。第二に、遺品を大切に使い続けてもらうという「感謝」の気持ち。そして第三に、物を通じて家族や親族の「心の整理」を助けることです。特に、葬儀後の落ち着いた時期に行うことで、気持ちの区切りにもなります。
また、形見分けを丁寧に行うことで、親族同士の関係を円滑に保つ効果もあります。トラブルを避けるためにも、「誰に何を渡すか」をよく相談しながら決めることが大切です。形見分けは、故人の思いを次の世代に繋げる行為でもあるのです。
形見分けのベストなタイミングと流れ
形見分けは、葬儀が終わってすぐに行うものではなく、四十九日などの法要後に落ち着いてから行うのが一般的です。理由は、遺族の気持ちがある程度整理された状態で行う方が、感情的な負担が少なく、丁寧に進められるからです。
まずは家族や親族と話し合い、「形見分けをするかどうか」「誰に何を渡すか」などの方針を決めましょう。その後、遺品の中から形見分けにふさわしい品を選び、受け取ってもらう相手に気持ちを添えて渡します。贈る際には、白い布に包んだり、簡単な手紙を添えたりすると、より丁寧な印象になります。
タイミングとしては、四十九日、一周忌、納骨の時期などが選ばれることが多いです。ただし、正式な決まりはなく、気持ちの整理や家族の事情に合わせて柔軟に判断して問題ありません。焦らず、感謝の気持ちを大切にして進めることが大切です。
よく選ばれる遺品と選び方のポイント
形見分けでよく選ばれる遺品には、故人の人柄や思い出が感じられる物が多く選ばれます。たとえば、腕時計、アクセサリー、愛用の万年筆、写真、衣類、趣味の道具などが代表的です。これらは「見るたびに故人を思い出せる物」として好まれます。
選び方のポイントは、「使いやすさ」と「気持ちの込もり方」のバランスです。高価である必要はありません。むしろ、日常で手に取る機会のある物や、故人がよく身につけていた物の方が、受け取る側にとって嬉しいことが多いです。また、状態が良く清潔であることも重要です。
一方で、宗教的な理由や気持ちの問題で「物をもらうのがつらい」という方もいらっしゃいます。そうした場合は、無理に渡さず、「形だけの気持ち」として写真やメッセージカードなど軽い形式のものを選ぶのも一つの方法です。相手の気持ちに寄り添いながら選ぶことが、最も大切なポイントです。
遺品を受け取る際に確認すべき注意点

遺品をもらうときは、気持ちの面だけでなく、税金や法的な手続きが関係してくることがあります。知らずに受け取ってしまうと後から困る可能性もありますので、事前にしっかり確認することが大切です。以下で具体的に解説いたします。
相続税・贈与税がかかる可能性とは?
遺品を受け取る際、場合によっては相続税や贈与税がかかる可能性があります。なぜなら、遺品も「財産」として見なされることがあるからです。特に金銭的価値の高い品物は税務上の扱いに注意が必要です。
相続税が課されるのは、遺産全体の金額が「基礎控除額」(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合です。遺品としてもらった美術品、高額な時計、宝石、不動産などが対象になりやすく、査定額によっては課税対象になります。
また、相続開始後でなく、生前に遺品として譲り受けた場合は「贈与」と見なされ、年間110万円を超えると贈与税がかかります。思いがけず高額な税金が発生することもあるため、受け取る前に専門家や税理士に相談することをおすすめいたします。
「形見だから大丈夫」と思い込まず、相続財産全体の中でどのように扱われるかを把握してから行動することで、後のトラブルを防ぐことができます。
登録・届出が必要な遺品に注意
遺品の中には、受け取るだけでなく「登録」や「名義変更」の手続きが必要な物があります。これを知らずに放置してしまうと、法的な問題が発生するおそれがあるため、注意が必要です。
たとえば、自動車は「相続による名義変更」が必要であり、運輸支局での登録手続きを行わなければなりません。また、不動産も登記変更をしないと、相続人としての権利が法的に認められないことがあります。銀行口座に関しても、故人名義のままでは出金や管理ができませんので、相続手続きが必要です。
さらに、銃や刀剣などの特別な物は、所持すること自体に届け出が必要です。万が一無登録のまま所持していると、違法行為と見なされる場合もあるため、非常に注意が必要です。
登録や届出が必要な遺品は、受け取る前にその必要性を調べ、必要に応じて行政機関や専門家に相談しながら手続きを行いましょう。正しい手続きを踏むことで、安心して遺品を受け継ぐことができます。
金銭的価値・状態の確認ポイント
遺品を受け取る際は、その物の「金銭的価値」と「状態」をしっかり確認することが重要です。なぜなら、あとでトラブルになったり、保管に困ったりする可能性があるからです。見た目では判断しにくい場合もあるため、慎重な確認が求められます。
まず、貴金属やブランド品、美術品などは、専門業者に鑑定してもらうことで正確な価値を知ることができます。「価値があるから残したい」のか、「売却して現金化したい」のか、目的に応じた対応も考えておくと良いでしょう。
また、遺品の状態確認も大切です。家具や家電などは、故障している可能性もあるため、使えるかどうか、修理が必要かどうかを確認しましょう。保存状態が悪いものは、虫食いやカビが発生していることもありますので注意が必要です。
さらに、価値のある物は盗難や紛失のリスクもあるため、管理方法にも気を配る必要があります。価値と状態を正しく把握したうえで、受け取るかどうかを判断することが、後悔のない遺品整理につながります。
受け取った遺品の正しい保管と管理

大切な人から受け継いだ遺品は、丁寧に保管し、良い状態で長く残したいものです。遺品を守るためには、保管方法や環境、日々の手入れが大切です。ここでは、遺品をきれいに保つための具体的な管理方法をご紹介いたします。
遺品を綺麗に保つための保存方法
大切な遺品をきれいに保つには、最初に正しい保存方法を知っておくことが大切です。なぜなら、適切に保存しないとカビや汚れ、劣化が進んでしまうからです。手順を守れば、長期間きれいな状態で保管することができます。
まず、遺品を受け取ったら、乾いた柔らかい布でほこりを軽く拭き取りましょう。革製品や金属製品は、専用のクリーナーを使うときれいになります。布や衣類の場合は、湿気を避けて、虫よけ剤を一緒に入れて保管すると安心です。
さらに、ビニール袋や密閉容器にそのまま入れるのは避けましょう。湿気がこもり、カビの原因になります。通気性のある紙箱や布袋に入れて保管するのが理想的です。ラベルをつけて中身を分かりやすくしておくと、後で探すときに便利です。
保管前に一度簡単な清掃を行い、状態を確認しておくことで、より長くきれいに保存できます。思い出を大切に残すために、適切な保存方法を心がけてください。
適切な保管環境の整え方
遺品を長持ちさせるには、保存場所の環境を整えることがとても大切です。なぜなら、湿度や温度、日光などの条件によって、遺品の劣化が早まってしまうからです。適切な環境を作ることで、大切な思い出を守ることができます。
まず、直射日光が当たる場所は避けてください。家具や写真、紙類などは、日光によって色あせたり変形したりすることがあります。できるだけ暗く、風通しの良い場所に保管しましょう。押入れや納戸を使う場合も、時々開けて換気することが大切です。
また、湿気がこもるとカビの原因になります。湿度が高い梅雨時期などは、除湿剤を置いたり、湿度計を設置して管理することをおすすめします。特に衣類や本は、湿度管理が重要です。できれば定期的に中身を出して、風に当てる時間を作るとよいでしょう。
さらに、害虫対策も忘れずに行いましょう。衣類や紙類は虫がつきやすいため、防虫剤を活用してください。ただし、防虫剤の匂いが気になる場合は、無香タイプのものを選ぶと安心です。
こうした環境づくりをすることで、遺品は長く美しく残すことができます。保管場所を整えることは、故人を大切に思う心の表れでもあります。
長期的に維持するための手入れのコツ
遺品を長く良い状態で保つには、日々の手入れが欠かせません。なぜなら、一度劣化が始まると、元に戻すのは難しくなるからです。定期的なチェックとメンテナンスを行うことで、大切な遺品を次の世代にも引き継ぐことができます。
まず、季節ごとに保管している遺品の状態を見直す習慣をつけましょう。特に湿気が多くなる梅雨時期や、乾燥する冬は注意が必要です。衣類や革製品は、風通しの良い場所で陰干しするだけでも、湿気対策になります。
金属製品やアクセサリーは、サビやくすみを防ぐために専用クロスで軽く拭いておくと良いでしょう。写真やアルバムは、時間が経つと色あせてくることがあるので、耐光性のあるケースに入れておくのがおすすめです。
また、収納ケースや箱の中も定期的に掃除をして、ほこりや虫の侵入を防ぎましょう。長年放置せず、年に1~2回でも手入れの時間を設けることで、遺品の寿命は大きく変わります。
こうした小さな積み重ねが、思い出の品を美しく保つ秘訣です。手入れの時間を通じて、故人とのつながりを再確認する機会にもなるでしょう。
遺品をめぐるトラブルを防ぐために

遺品をもらう・もらわないという判断は、時に家族や親族との誤解やトラブルの原因になります。こうした問題を防ぐには、事前の話し合いや配慮が重要です。ここでは、よくある対立の防止策や、万一の対処法についてご紹介します。
受け取りを辞退する際の丁寧な対応方法
遺品を受け取ることに負担を感じた場合、辞退する選択も間違いではありません。しかし、その際には丁寧な対応が求められます。なぜなら、断り方によっては親族の気分を害したり、関係がこじれてしまう可能性があるからです。
まず、辞退する理由は正直に、かつやさしく伝えることが大切です。「大切な気持ちはありがたく受け取りますが、保管が難しいため…」「思い出は心の中に大切にしています」など、相手の気持ちを否定せずに伝えると角が立ちません。
代わりに、形だけでも故人の写真をもらう、手紙を残すなど、思いを共有する方法を提案すると好印象です。また、感謝の気持ちを必ず伝えるようにしてください。「私を思ってくださってありがとうございます」と一言添えるだけで印象は大きく変わります。
辞退すること自体が悪いわけではありませんが、受け取りの拒否を一方的に伝えるとトラブルになりがちです。あくまで「受け取る側の都合」として配慮ある言い方を心がけましょう。
親族とのトラブルを防ぐための事前ルール
遺品をめぐるトラブルは、親族間の価値観や思い出の違いから起こりやすい問題です。特に形見分けで「誰が何をもらうか」を巡って争いが起きるケースは少なくありません。こうした事態を防ぐには、事前にルールを決めておくことが有効です。
まずは、家族全員で話し合いの場を設けましょう。遺言書がある場合は、その内容を尊重するのが基本ですが、明記されていない物については「全員で話し合って平等に決める」ことが重要です。感情的になりやすい場面だからこそ、冷静な合意形成が求められます。
形見分けの対象品をリストアップし、必要であれば「希望者を募る」「抽選にする」「代表者を決める」といったルールを明確にすることで、公平性が保たれます。人任せにせず、自分たちで納得のいく形を作ることが大切です。
また、ルールは口頭だけでなく、メモやメールなど記録に残すと後の誤解を防げます。思いやりと透明性のある対応が、親族との良好な関係を守る鍵となります。
トラブルが起きたときの相談先と対処法
万が一、遺品をめぐってトラブルが発生した場合、感情的に対応すると事態が悪化するおそれがあります。そこで重要なのが、冷静に対処し、適切な相談先に早めに連絡することです。適切な支援を受けることで、解決の糸口が見えてきます。
まず、相続に関するトラブルであれば、最初に「家庭裁判所」や「法テラス」に相談するのが基本です。専門家による無料相談もあり、早期対応によって争いが深刻化するのを防げます。また、弁護士や行政書士に依頼すれば、第三者を通じた解決も期待できます。
親族間での話し合いが難航している場合は、市区町村の「民事調停」や「地域包括支援センター」なども利用可能です。法律の専門機関以外にも、中立的な第三者を交えることで円滑な解決が図れます。
重要なのは「感情でぶつからず、事実に基づいて話す」ことです。トラブルが起きた際には、記録(メールや会話メモ)を残しておくと有利になります。早めの相談と記録の活用が、安心できる解決への第一歩です。
まとめ
遺品をもらうことは、故人の思いを引き継ぐ大切な行為ですが、感情面だけでなく法律やマナーにも配慮が必要です。この記事では、形見分けの意味やタイミング、よく選ばれる品物、相続税や登録の注意点、そして保管やトラブル防止の方法まで詳しくご紹介しました。
遺品を受け取るかどうかは人それぞれですが、故人を大切に思う気持ちを大切にしながら、感謝の気持ちとともに丁寧に向き合うことが大切です。後悔のない遺品の受け取り方を目指しましょう。




