亡くなった方の部屋を片付けることは、気持ちの整理や相続手続きのためにとても大切な作業ですが、「何から始めればいいのか分からない」と悩まれる方も多いです。自分で進めるか、業者に頼むべきか判断に迷う場面もあるでしょう。
本記事では、遺品整理の適切なタイミングや、自分で行う方法、業者に依頼すべきケース、注意点までを分かりやすく解説いたします。ご自身の状況に合った進め方を見つけるための参考にして下さい。
亡くなった人の部屋を片付けるべき理由

亡くなった方の部屋をそのままにしておくと、気持ちの整理がつかず、手続きや環境面でも問題が生じるおそれがあります。遺品整理は、心の区切りをつけるだけでなく、法的手続きや周囲への配慮にもつながる大切な行動です。以下で詳しく解説いたします。
気持ちの整理と心の区切りをつけるため
亡くなった方の部屋を片付けることは、気持ちに区切りをつけるためにとても大切です。
まず、多くの方が「片付けをすると故人を忘れてしまうのではないか」と心配されますが、実際には整理することで思い出を振り返る時間が生まれ、悲しみと向き合うことができます。
部屋にある品々を一つひとつ手に取りながら、故人との思い出をたどる時間は、心の整理にもつながります。これは「グリーフケア」とも呼ばれ、専門家も大切だと指摘しています。
特に、喪失感が大きいご家族ほど、部屋をきれいにすることで少しずつ現実を受け入れられるようになるケースが多いです。遺品整理は、物を片付けるだけでなく、心の再出発にもつながる重要なステップなのです。
相続や手続きを円滑に進めるため
亡くなった方の部屋を整理することは、相続や各種手続きを円滑に進めるためにも重要です。
たとえば、遺言書や預貯金通帳、不動産の権利証など、相続に関わる重要な書類は部屋の中に残されていることが多く、見つけ出すためには整理が不可欠です。
また、公共料金の請求書や保険関係の書類なども確認しておくことで、名義変更や解約手続きがスムーズになります。相続放棄を検討している場合でも、部屋を調査して債務や財産の状況を把握しなければ、判断ができません。
このように、遺品整理は感情的な意味合いだけでなく、法律や手続きの面でもとても大切な作業です。
早めに部屋を片付けることで、必要な書類を見逃さず、家族間のトラブルや手続きの遅延を防ぐことができます。
衛生・防犯・近隣トラブルを防ぐため
故人の部屋を長期間そのままにしておくと、さまざまなトラブルが発生するおそれがあります。
まず、食べ物の残りやゴミが放置されていると、悪臭や虫の発生につながり、近隣から苦情が出ることもあります。特に夏場は腐敗が早く、害虫やカビによる衛生問題が深刻化しやすいです。
また、防犯面でも注意が必要です。空き家と判断された場合、空き巣や不法侵入の対象になることがあります。新聞や郵便物がたまっていると、留守が知られてしまう原因にもなります。
さらに、火災や漏電といった事故も起きやすくなります。電気製品の電源を切らないまま放置されていたケースでは、実際に火災が発生した事例も報告されています。
このように、遺品整理をせずに放置しておくことは、周囲への迷惑や重大なリスクにつながるため、できるだけ早く片付けることが望まれます。
遺品整理を始める適切なタイミングとは

遺品整理は気持ちの整理と手続きの両面から大切ですが、「いつから始めればよいのか分からない」と悩まれる方も多いです。一般的には四十九日を過ぎた頃が一つの目安とされていますが、相続との関係も踏まえて計画的に進めることが大切です。
四十九日後から始めるのが一般的な理由
遺品整理は、四十九日が過ぎた頃から始めるのが一般的とされています。
その理由は、宗教的な意味合いと心理的な配慮の両方があるからです。仏教では、亡くなった方の魂は四十九日間をかけて旅をするとされており、その間は「まだこの世にいる」と考える人もいます。そのため、四十九日が終わるまでは遺品に手をつけず、そっとしておく家庭が多いのです。
また、ご遺族の気持ちが落ち着き、少しずつ現実を受け入れられるようになる時期でもあります。気持ちが不安定な状態で無理に片付けを進めると、かえって精神的な負担が大きくなってしまうこともあるため、一定の時間を空けることが大切です。
ただし、賃貸契約の退去期限や相続手続きの進行状況によっては、早めの対応が必要な場合もありますので、状況に応じて判断することが重要です。
相続手続きとの関係を理解して進める
遺品整理は、相続手続きと深く関係しています。正しいタイミングで行わないと、後々の手続きに支障をきたす可能性があるため注意が必要です。
たとえば、通帳や不動産の権利証、保険証券、遺言書などは、相続財産や債務の把握に不可欠な書類です。遺品整理の中でこれらを見つけておかないと、相続財産の正しい評価ができず、申告や手続きが遅れてしまう原因になります。
また、相続放棄を考えている場合は、故人の所有物を勝手に処分してしまうと「単純承認」と見なされる可能性があり、放棄ができなくなることもあります。
したがって、相続手続きに必要な情報をきちんと確認しながら、計画的に遺品整理を進めることが大切です。ご不安な場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談することもご検討ください。
自分で遺品整理を進める方法と注意点

遺品整理は専門業者に依頼する方法もありますが、ご家族やご自身で進めることも可能です。ただし、感情的・物理的な負担が大きくなるため、あらかじめ計画やルールを把握しておくことが重要です。以下では、基本的な手順と注意点を整理してご紹介いたします。
作業の流れと準備しておくべきこと
遺品整理を自分で行う場合、事前に流れを把握し、しっかりと準備することが成功のカギとなります。
まずは、作業日程を決め、誰が参加するかを明確にしましょう。そのうえで、必要な道具(ごみ袋、軍手、段ボール、マーカーなど)を揃えておくと、当日の作業がスムーズに進みます。
作業は「貴重品・重要書類の確保」→「遺品の分類」→「不要品の処分」の順で進めるのが基本です。特に最初の段階で、通帳や権利証、保険証券など相続に関係する書類を誤って捨てないよう注意してください。
また、複数日にわたる場合は、作業した範囲と残すべき物を記録しておくと混乱を防げます。
準備をしっかり整えることで、心の負担を軽減し、効率よく遺品整理を進めることができます。
家族・親族と役割分担や同意を得る方法
遺品整理は感情が絡む作業であるため、家族や親族としっかり話し合い、協力しながら進めることが大切です。まず、誰がリーダーとなって作業を進めるのか、役割を明確に決めておくことでトラブルを防げます。物を勝手に処分したことがきっかけで親族間の関係が悪化するケースもあるため、同意を得る姿勢が重要です。
たとえば、「形見として取り置く物」「供養が必要な物」「売却・処分してよい物」などを分類し、リストにして共有するとスムーズです。LINEグループや共有フォルダを活用すれば、遠方の親族とも円滑に連携が取れます。
また、思い出の品については、写真に残してから処分するなど、配慮のある対応を心がけましょう。家族の理解と協力があってこそ、気持ちの整理も含めた円満な遺品整理が実現します。
ごみ処分・供養・リサイクルの基本ルール
遺品整理では、単に「捨てる」だけでなく、ごみ処分・供養・リサイクルを正しく行うことが重要です。
まず、ごみ処分に関しては自治体の分別ルールに従う必要があります。可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみなど、それぞれ指定の方法で出さないと収集されない場合があります。
仏壇や遺影、人形など「心のこもった品」は、お焚き上げや寺院での供養を行うのが一般的です。勝手に処分すると後悔することがあるため、事前に相談先を探しておくと安心です。
状態のよい家具や家電、衣類などは、リサイクルショップや不用品回収サービスを活用すると、処分費用を抑えることができます。
これらの基本的なルールを押さえておくことで、法律やモラルに配慮しつつ、スムーズかつ丁寧に遺品整理を行うことが可能になります。
業者に依頼すべき遺品整理のケース

遺品整理は必ずしも自分で行わなければならないものではありません。状況によっては、専門の遺品整理業者に依頼する方が安心で確実です。ここでは、業者への依頼が適している代表的なケースを3つに分けて解説いたします。
精神的・肉体的な負担が大きいとき
遺品整理は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかる作業です。特に、亡くなった方との関係が深い場合、思い出の詰まった品々を目にすることで、強い悲しみや喪失感に襲われることがあります。心が不安定な状態で無理に作業を進めると、体調を崩したり、うつ状態になるおそれもあります。
また、高齢のご家族や体力に不安がある方にとっては、重い家具や大量の荷物を片付ける作業自体が大きな負担です。
このようなときは、無理をせず遺品整理業者に依頼することをおすすめいたします。専門のスタッフが感情面にも配慮しながら作業を代行してくれるため、心の負担を軽減しながら整理を進めることができます。
時間・人手・体力に不安があるとき
忙しい生活の中で遺品整理に十分な時間や人手を確保するのは難しいこともあります。特に、遠方に住んでいる場合や仕事・家庭の都合で長時間作業ができない方にとっては、自分たちだけで片付けを完了させるのは現実的ではありません。
また、賃貸物件の場合は退去期限が決まっていることも多く、限られた時間内で整理を終える必要があります。このような状況では、遺品整理業者に依頼することで、プロの手によって短時間で効率的に作業を終わらせることが可能です。必要に応じて、即日対応や休日対応をしてくれる業者もあります。
時間・人手・体力に不安があるときは、業者の力を借りることで負担を減らし、スムーズに整理を進めることができます。
特殊清掃やゴミ屋敷など専門対応が必要なとき
遺品整理の現場によっては、通常の片付けでは対応が難しいケースもあります。たとえば、孤独死や事故死があった現場では、体液やにおいの除去が必要となるため、特殊清掃の専門知識と装備が求められます。また、ごみが長年放置されていた「ゴミ屋敷」のような状態では、害虫やカビが発生している可能性があり、衛生上のリスクも高まります。
こうした場合には、一般的な片付けでは対応しきれないため、特殊清掃や廃棄物処理の経験がある専門業者に依頼することが最適です。自治体の許可や特殊清掃の資格を持った業者であれば、安全かつ法令を守って作業を進めてくれます。
状況が深刻な場合は、自己判断で片付けを進めるのではなく、必ず専門家に相談するようにしましょう。
遺品整理業者の選び方と比較ポイント

遺品整理を業者に依頼する際は、料金だけで決めてしまうとトラブルにつながるおそれがあります。信頼できる業者を見極めるには、許可や資格、サービス内容、利用者の評判などを総合的に確認することが重要です。以下のポイントを参考にして下さい。
許可や資格の確認方法
遺品整理業者を選ぶときは、まず必要な許可や資格を持っているかを確認することが大切です。
結論として、一般家庭のごみを回収するには「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。この許可がない業者がごみを運搬すると、法律違反となり、依頼者もトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、「遺品整理士」などの民間資格を持つ担当者がいるかどうかも信頼性の判断材料になります。これらの資格を持っている業者は、遺品整理に関する知識や倫理を学んでいる証です。
業者のホームページに許可番号や資格の有無が掲載されているかを確認し、不明な場合は見積もり時に直接聞いてみると安心です。法的に適正な業者を選ぶことが、安心して遺品整理を任せるための第一歩です。
見積もり・サービス内容のチェック
遺品整理業者に依頼する際は、見積もりの内容と提供されるサービスをしっかり確認することが重要です。
まず、見積書には「作業費」「処分費」「車両費」などの内訳が記載されているか確認しましょう。合計金額だけの見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクがあります。
また、サービス内容も業者によって異なります。たとえば、「貴重品の探索」「合同供養の手配」「リサイクル・買取対応」「ハウスクリーニング」など、必要な内容が含まれているか確認してください。
作業後の立ち会いや写真報告があるかどうかも、遠方のご遺族にとっては大きな安心材料です。事前に見積もりとサービス内容を丁寧に比較することで、適正価格で納得のいく作業を依頼できます。
実績・評判・口コミから判断する
業者選びで失敗しないためには、過去の実績や利用者からの評判もチェックすることが大切です。
まず、ホームページに記載された「作業実績」「対応地域」「施工事例」などを見ることで、どのような現場に対応しているかが分かります。実績が多い業者は経験も豊富で、さまざまなケースに柔軟に対応できます。
また、Googleマップや口コミサイトに投稿されたレビューも確認しましょう。良い口コミだけでなく、悪い口コミに対する業者の対応姿勢を見ることも信頼性の判断材料となります。さらに、自治体や地域の高齢者支援機関と提携している場合は、信頼度が高いといえます。実績と評判をあわせて確認することで、安心して任せられる業者を選ぶことができます。
業者に依頼するときの注意点

遺品整理を業者に依頼する場合は、事前の確認と準備がとても大切です。内容をよく確認せずに契約してしまうと、後からトラブルになる可能性があります。ここでは、依頼時に特に気をつけたい3つのポイントをご紹介いたします。
複数業者から見積もりを取る重要性
遺品整理を業者に依頼する際は、必ず複数社から見積もりを取りましょう。なぜなら、業者によって料金体系やサービス内容に大きな差があるからです。1社だけに見積もりを依頼すると、適正価格なのか判断がつかず、高額な請求を受ける可能性もあります。
複数の見積もりを比較することで、「作業時間」「スタッフの人数」「処分費の有無」などの違いが見えてきます。また、電話対応や現地調査時の印象も比較材料のひとつです。
さらに、悪質な業者を見抜く手段にもなります。相場から大きく外れた金額や、見積書に詳細が記載されていない場合は要注意です。納得のいく業者を選ぶためには、時間をかけて比較検討することがとても重要です。
作業内容と費用内訳を事前に明確にする
契約前には、作業内容と費用の内訳を必ず確認し、書面で残すことが大切です。なぜなら、作業当日に「予定外の作業が必要」として追加料金を請求されるトラブルが少なくないからです。
まず、見積書には「人件費」「処分費」「車両費」「養生作業」などが具体的に記載されているかを確認しましょう。作業時間や立ち会いの有無、キャンセル料についても事前に説明を受けておくと安心です。
曖昧な説明のまま契約すると、後で思わぬ金額を請求されるケースもあります。口頭の説明だけでなく、必ず書面やメールで記録を残すようにしましょう。事前に細かい確認を行っておくことで、当日の作業もスムーズに進み、安心して依頼できます。
残す物と処分する物を事前に仕分ける
遺品整理を依頼する前に、「残す物」と「処分する物」を明確に分けておくことがとても重要です。
業者にすべてを任せてしまうと、大切な思い出の品や貴重品が誤って処分されてしまう可能性があります。
まずは、ご家族で話し合い、残しておきたい物をリスト化しておきましょう。可能であれば、処分してよい物には付箋を貼ったり、あらかじめ別の部屋に移動させておくとスムーズです。
また、写真や手紙など感情的な価値があるものについては、保留として一時的にまとめておくと、後からじっくり判断できます。事前に仕分けをしておくことで、業者も作業しやすくなり、作業時間の短縮や費用の節約にもつながります。
思い出や財産を守るためにも、丁寧な仕分け作業を心がけて下さい。
亡くなった人の部屋を放置した場合のリスク

亡くなった方の部屋をそのままにしておくと、さまざまなリスクが生じます。衛生や防犯の問題だけでなく、相続や不動産の手続きにも影響を与えるおそれがあります。後悔しないためにも、放置することのリスクを理解しておくことが大切です。
衛生・火災・防犯の問題につながる
亡くなった方の部屋を長期間放置すると、衛生や防犯、火災のリスクが高まります。まず、食べ残しやゴミがそのままの状態になっていると、悪臭やカビの発生、害虫の繁殖が起こりやすくなります。これにより、近隣住民から苦情が寄せられることもあり、賃貸物件であれば原状回復の費用が高額になることもあります。
また、誰も出入りしていない家は空き巣に狙われやすく、防犯面でも非常に危険です。ポストに郵便物がたまり続けることで、不在が明らかになり、空き家と判断されるおそれがあります。
さらに、使われていない家電製品の電源が入ったままになっていると、火災の危険性もあります。このような衛生・防犯・火災のリスクを避けるためにも、できるだけ早く遺品整理を行い、部屋の安全管理を徹底することが重要です。
相続・不動産手続きに悪影響が出る
遺品整理を後回しにして部屋を放置していると、相続や不動産の手続きに悪影響が出る可能性があります。まず、部屋の中にある重要書類(遺言書、通帳、権利証、保険証券など)を発見できず、相続手続きに必要な情報が不足するおそれがあります。それにより、手続きが遅れるだけでなく、相続税の申告漏れやトラブルの原因にもなります。
また、不動産を売却・賃貸する場合でも、部屋が片付いていないと内覧ができず、資産を有効に活用できなくなります。管理状態が悪いと、物件価値が下がってしまうこともあります。
さらに、空き家対策特別措置法により、適切に管理されていない空き家は「特定空き家」として指導対象となり、固定資産税が高くなるケースもあります。大切な財産を守るためにも、放置せず早めに整理し、必要な手続きを進めていくことが大切です。
まとめ
亡くなった方の部屋を片付けることは、気持ちの整理をつけるだけでなく、相続手続きや衛生管理、防犯対策のためにも大切な作業です。自分で進めることも可能ですが、精神的・体力的に負担が大きい場合や時間がない場合には、無理せず業者に依頼することも検討しましょう。
業者を選ぶ際は、許可や資格の有無、サービス内容、口コミなどを確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。また、作業前には残す物と処分する物をしっかり仕分けし、トラブルを防ぐ工夫も必要です。放置することで発生するリスクを避けるためにも、早めの行動をおすすめいたします。




