遺品整理を進めていく中で、食器の扱いに悩む方はとても多くいらっしゃいます。食器は数が多く、重くて割れやすいうえに、思い出が詰まっていることもあり、なかなか手放せないものです。また、素材ごとに分別が必要で処分も一苦労です。さらに、価値のある食器を誤って捨ててしまうことも避けたいところです。
本記事では、遺品整理で出てきた食器を処分・売却・供養する方法や注意点を、わかりやすく解説いたします。ぜひ参考になさってください。
遺品整理で食器が厄介になりやすい理由

遺品整理の中でも、食器は特に片付けが大変な品のひとつです。理由は「量が多い」「分別が複雑」「思い出が詰まっている」など複合的です。この章では、なぜ食器の整理が厄介になりやすいのかを具体的に解説いたします。
食器は数が多く、分別も必要になる
食器の整理が大変な理由のひとつは、とにかく量が多いことです。毎日の食事に使っていたお皿、茶碗、コップ、来客用の食器セット、贈答品など、キッチンには多種多様な食器が詰め込まれています。
それに加えて、食器は素材もバラバラです。陶器、ガラス、プラスチック、金属などが混在しており、それぞれゴミの分別方法が異なります。自治体によっては「不燃ごみ」「資源ごみ」「粗大ごみ」などの分類も必要で、手間がかかります。
また、重くて割れやすいため、運ぶのにも注意が必要です。紙に包んだり、箱詰めしたりする必要があるため、思った以上に時間と労力がかかる作業になります。
このように、食器は「数が多い」「分別が面倒」「取り扱いが難しい」という三重の要素を抱えているため、遺品整理の中でも特に厄介になりやすいのです。
感情的に手放しにくい「思い出の品」になりやすい
食器は日常的に使うものである一方で、家族との時間や故人との思い出が深く刻まれている品でもあります。そのため、「これは母が毎朝使っていた茶碗」「父の湯のみ」「おばあちゃんが集めていたお皿」など、特定の記憶と強く結びついていることが多いのです。
このような感情があると、たとえ使わないと分かっていても、なかなか手放す決心がつかないという方は少なくありません。また、贈答品や記念の品なども多く、「誰かに使ってもらいたい」「捨てるのはかわいそう」と感じてしまうこともあります。
さらに、ひとつひとつを見ては当時を思い出し、作業が進まないというケースも珍しくありません。つまり、物理的な整理の難しさに加えて、感情的な整理も必要となるのが、食器の特徴なのです。
遺品整理では「残すもの」「譲るもの」「処分するもの」に分けることが基本ですが、感情に左右されやすい食器ほど、事前に方針を決めておくとスムーズに進められます。
遺品整理で出た食器の処分・売却・譲渡方法

遺品整理で出てくる大量の食器をどう扱うかは、多くの方が悩むポイントです。処分する、売却する、譲渡するという3つの方法がありますが、それぞれに適した手順や注意点があります。ここではその具体的な方法を解説します。
自治体ゴミ・業者処分などの「廃棄」の選択肢
不要になった食器を手っ取り早く処分する方法としては、「自治体のごみ回収」や「不用品回収業者に依頼する」手段があります。
まず、自治体による処分では、ガラス製・陶器製の食器は一般的に「不燃ごみ」に分類されることが多いですが、地域によっては「粗大ごみ」「資源ごみ」として扱われることもあるため、事前に自治体の分別ルールを確認することが重要です。
一方、不用品回収業者に依頼すれば、大量の食器も一度に引き取ってくれるので手間が省けます。特に遠方に住んでいるご遺族や高齢者の方には便利な方法です。ただし、費用がかかるため、料金体系や追加料金の有無をしっかり確認しましょう。
処分するという選択は気持ちの整理も伴いますが、「使わないものを無理に残さない」という考え方で進めると、片付けがスムーズになります。
リサイクルショップや買取業者への「売却」方法
遺品の中には、状態がよく、価値のある食器も含まれていることがあります。そのような品物は、リサイクルショップや専門の買取業者に売却するという選択肢があります。
たとえば、有名ブランドの洋食器(ノリタケ、ウェッジウッド、マイセンなど)や、未使用の箱入りセットは、中古市場でも人気があり、高値がつくこともあります。
売却する際は、事前にインターネットで相場を調べたり、複数の業者に見積もりを依頼したりすると安心です。出張買取に対応している業者もあるので、大量の食器がある場合はそのようなサービスを利用すると負担が軽減されます。
ただし、傷や欠けのあるものは基本的に買取対象外です。売れるかどうかの判断が難しい場合は、まず無料査定を受けてみることをおすすめいたします。
知人・福祉団体への「譲渡」や「寄付」の考え方
まだ使える食器を「捨てるのはもったいない」と感じる場合は、知人に譲ったり、福祉団体や施設へ寄付するという方法があります。
特に、未使用の贈答用食器や比較的状態の良い日用品は、リユース品として役立ててもらえるケースが多く、近年は社会福祉法人や国際支援団体でも食器の受け入れを行っています。
ただし、すべての団体が食器を受け付けているわけではなく、衛生面や破損リスクの観点から「新品のみ」や「陶器不可」など条件が定められている場合もあります。寄付を検討する際は、事前に団体の公式サイトや窓口で受け入れ条件を確認するようにしましょう。
誰かに使ってもらえることで、故人の品物が活かされるという安心感も得られるため、心の整理にもつながる選択肢のひとつです。
遺品の食器を供養するという選択肢

遺品整理の中で、どうしても捨てづらい食器がある場合には「供養」という選択肢もあります。特に故人が大切に使っていたものや思い出の詰まった品には、心を込めて別れを告げる方法として供養が選ばれています。
供養が向いている食器とその背景
遺品整理で出てくる食器の中には、処分するには心が痛むようなものもあります。そのような場合に選ばれるのが「供養」という方法です。
供養が向いている食器には、たとえば故人が毎日使っていた茶碗や湯のみ、家族との思い出が強く残っているお皿、贈答品として大切に保管されていた品などが挙げられます。これらの品は、単なる日用品というよりも「心のこもった品」としての意味を持つことが多いため、捨てることに抵抗を感じる方が少なくありません。
また、日本には「物にも魂が宿る」という考えがあり、長く使った道具や大切にされた物には感謝の気持ちを込めて別れを告げるという文化があります。食器もその対象となりうるため、「粗末に扱いたくない」「感謝を伝えたい」という気持ちから供養が選ばれることがあります。
感情的な区切りをつけたいときや、単に処分することに抵抗がある場合には、供養は非常に有効な選択肢となります。
対応しているお寺・業者・料金の目安
食器の供養を依頼したい場合、対応しているのは主に「お寺」「神社」「遺品整理業者」です。中でも仏具や日用品の供養を専門に行っているお寺では、「お焚き上げ」や「合同供養」を受け付けているところが多くあります。
また、遺品整理業者の中には、食器や写真、衣類などをお寺に持ち込み、まとめて供養してくれるサービスを提供しているところもあります。このような業者を利用すれば、片付けと供養を同時に進められるため、遠方に住んでいる遺族にとっても非常に便利です。
費用の目安としては、段ボール1箱分の供養で3,000円~10,000円程度が相場です。ただし、お寺によっては「お気持ち(志納)」という形で自由に金額を決められるところもあります。
供養を希望する際は、必ず事前に対応内容や費用について確認し、予約が必要かどうかもチェックしておきましょう。信頼できる業者や寺院に依頼することで、安心して食器とお別れすることができます。
食器の整理で注意しておきたいこと

遺品整理で食器を扱う際は、単に「捨てる・残す」だけでなく、いくつかの注意点を意識することが大切です。特に状態や価値の判断によって、処分ではなく売却や譲渡につながることもありますので、確認作業を丁寧に行いましょう。
状態・素材・ブランドをしっかり確認する
食器を整理する前に必ず確認したいのが、その「状態」「素材」「ブランド」です。これらをきちんと見て判断することで、不要品ではなく価値ある品として扱える可能性が高まります。
まず「状態」については、ヒビや欠けがないか、汚れが落ちるかをチェックしましょう。割れていたり、汚れが取れないものは処分対象になりますが、状態が良ければ買取や寄付も検討できます。
次に「素材」です。陶器、磁器、ガラス、木製など、素材によって処分方法や市場価値が変わります。たとえば、有田焼や美濃焼のような伝統工芸品は高値がつくこともあります。
また、「ブランド」も非常に重要です。ノリタケ、ウェッジウッド、ロイヤルコペンハーゲンなどの有名ブランド品は中古でも需要があり、セットでそろっていればさらに価値が上がります。
このように、食器を整理する際には、見た目だけで判断せず、しっかり確認することが有効な活用や正しい処分につながります。
セット品や箱入りのまま残すと価値が上がることも
遺品の中には、箱入りのギフトセットや未使用の食器セットが見つかることがあります。これらは個別にバラして処分してしまうよりも、セットのまま保管・売却することで価値が上がる可能性があります。
たとえば、5客セットのコーヒーカップや来客用のティーセットなどは、箱入りであれば「贈答品」としての需要も高く、買取価格も安定しています。バラになってしまうと価値が下がったり、買い取ってもらえなかったりすることもあるため注意が必要です。
また、ブランド品やデザイン性の高い食器は、箱があることで本物であることの証明になり、信頼性も高まります。
そのため、整理の際は「中身だけ取り出して捨てる」のではなく、まずは箱のまま保管し、必要に応じて査定や寄付の相談をしてみましょう。セット品や箱入りの食器は、意外な価値を持っていることがあります。
まとめ
遺品整理で出てくる食器は、量が多く分別も複雑で、さらに思い出が詰まっていることから、整理が難しい品のひとつです。処分方法としては、自治体の回収や不用品業者への依頼、売却、譲渡、供養など、さまざまな選択肢があります。
状態が良ければリサイクルショップや買取業者で売却できる可能性もありますし、使える物は寄付という方法も有効です。また、感情的に捨てられない場合は供養という選択もあります。正しい知識と判断で、無理のない片付けを進めていただければと思います。




