高齢化が進む日本では、遺品整理業への注目が年々高まっています。「自分でも始められるの?」「資格や許可は必要?」と悩む方も多いのではないでしょうか。実際、遺品整理業は需要が増え続けており、未経験からでも開業できるチャンスのある業種です。
本記事では、遺品整理業の仕事内容から、独立やフランチャイズの開業方法、必要な資格・許可、助成金の活用法まで、わかりやすく解説いたします。これから開業を検討している方に役立つ情報をまとめています。
遺品整理業の基本情報と業界動向

遺品整理業とは、亡くなった方の住まいを整理・清掃し、遺族の精神的・物理的負担を軽減する専門サービスです。少子高齢化と単身世帯の増加により、今後も需要が高まると予想されています。ここでは、仕事内容や業界の現状を解説します。
遺品整理業の仕事内容と特徴
遺品整理業の主な仕事は、故人の住まいに残された物品を「必要な物」と「不要な物」に分け、遺族の希望に応じて整理・処分することです。
たとえば、貴重品や思い出の品は保管・形見分けを行い、生活ごみや大型家具は適切な方法で処分します。また、孤独死や事故死の現場では、特殊清掃や消臭作業が必要になる場合もあります。
この仕事の特徴は、単なる片付けではなく、遺族の気持ちに寄り添いながら進める「心のケア」を含むサービスである点です。丁寧な対応やマナーが求められ、人の死に関わる責任ある業務でもあります。
結論として、遺品整理業は「整理・処分・清掃」だけでなく、遺族との信頼関係を築き、心の整理を支える大切な役割を持った仕事です。そのため、作業の正確さだけでなく、思いやりの姿勢も非常に重要になります。
増え続ける需要と今後の市場性
遺品整理業の需要は年々高まっており、今後も右肩上がりの成長が見込まれています。
背景には、少子高齢化と単身世帯の増加があります。高齢者の一人暮らしが増えたことで、家族が遠方に住んでいるケースも多く、遺族が遺品整理を自力で行えない状況が増えています。また、相続問題や空き家対策の一環としても、専門業者へのニーズが拡大しています。
2022年時点での遺品整理業の市場規模は数百億円とされ、業界全体がまだ成長途中であることもチャンスといえるでしょう。特に地方では業者数が少なく、地域密着型のサービスに需要が集中する傾向があります。
結論として、遺品整理業は社会的ニーズが高く、今後さらに拡大する可能性を秘めたビジネスです。高齢化が進む日本社会において、安定した需要が見込める点で、開業を検討する方にとっては非常に魅力的な業種といえるでしょう。
開業スタイルとそれぞれの流れ

遺品整理業を始めるには、「独立開業」と「フランチャイズ加盟」という2つの方法があります。それぞれに準備や費用、サポート体制の違いがありますので、ご自身の目的や経験に合ったスタイルを選ぶことが重要です。
独立開業の手順と初期費用の目安
独立開業は、自分でゼロから事業を立ち上げるスタイルです。
まずは、事業計画書を作成し、必要な資格(例:古物商許可、産廃許可など)を取得します。その後、屋号や営業所を決めて開業届を提出し、必要な備品や車両、作業道具を揃えます。ホームページやチラシなどの集客準備もこの段階で行います。
初期費用は、設備や車両、広告費などを含めて約100万円〜300万円が目安とされています。費用を抑えたい場合は、中古の軽トラックや簡易なホームページ作成などで対応することも可能です。
結論として、独立開業は自由度が高く、自分の方針で事業を展開できる一方、集客や運営に関する知識・経験が求められます。自信と準備がある方に向いているスタイルです。
フランチャイズで始めるメリット・デメリット
フランチャイズ開業は、既存の遺品整理業者のブランドやノウハウを活用して事業を始める方法です。
メリットとしては、すでに認知されているブランドを活用できるため、集客がしやすく、開業直後から依頼が入りやすい点が挙げられます。また、研修制度やマニュアル、経営サポートが整っており、初心者でも安心してスタートできます。
一方、デメリットは、ロイヤリティや加盟金が発生すること、営業地域やサービス内容に制限があることです。また、自分のアイデアや方針を自由に反映しづらい場合があります。
結論として、フランチャイズは経験が少ない方や、早く安定した収益を得たい方に適しています。ただし、長期的な収支や自由度を考慮して判断することが大切です。
どちらを選ぶ?比較して分かる違い
独立開業とフランチャイズ、どちらが自分に合っているのかを判断するには、それぞれの特徴を比較することが大切です。
独立開業は、自由度が高く、利益をすべて自分のものにできますが、集客や運営をすべて自分で行う必要があります。起業経験や地域とのつながりがある方には向いています。
一方、フランチャイズはサポート体制が整っており、初心者にも始めやすいですが、ブランド使用料やロイヤリティがかかり、自由な経営には制限がある場合もあります。
起業経験や事業への情熱があり、オリジナルのサービスを作りたい方は独立開業がおすすめです。初めての起業で失敗を避けたい方には、フランチャイズが安心と言えるでしょう。
必要な資格・許可とその取得方法

遺品整理業を開業するにあたり、法的に義務づけられている資格はありませんが、業務内容によっては複数の許可や届出が必要です。ここでは、信頼性の高い事業運営を行うために知っておきたい主要な資格・許可についてご紹介します。
遺品整理士の資格とは?取得の流れと費用
遺品整理士は、遺品整理の専門知識とマナーを身につけたことを証明する民間資格です。
この資格は、遺品整理士認定協会が運営しており、講座の受講と筆記試験に合格することで取得できます。受講は通信教育形式で、自宅でテキストとDVDを使って学習できるため、忙しい方でも無理なく進められます。
費用は、認定講座の受講料として約38,500円(税込)かかります。また、取得後には年会費や認定証の発行費用が必要になる場合があります。
遺品整理士の資格を持っていると、依頼者に対して信頼性をアピールできるほか、他業者との差別化にもつながります。近年は、行政や福祉関係者からの紹介が増えるきっかけにもなっています。
遺品整理士の資格は義務ではありませんが、信頼獲得や仕事の幅を広げるために非常に有効です。将来的に業界での信用を高めたい方には取得をおすすめします。
古物商・廃棄物関連の許可の違いと注意点
遺品整理業では、扱う品物の内容によって「古物商許可」と「廃棄物収集運搬業許可」が必要になることがあります。
まず、古物商許可は、遺品の中にある家具や家電、骨董品などを買い取り・再販売する場合に必要です。これは各都道府県の公安委員会(警察署)で取得できます。申請費用は19,000円で、営業所ごとに許可が必要です。
一方、廃棄物収集運搬業許可には2種類あります。家庭から出る一般廃棄物を運ぶ場合は「一般廃棄物収集運搬業許可」、事業所や現場から出る不用品を運ぶ場合は「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。これらは市区町村または都道府県ごとに申請が必要で、取得には審査と実務要件が伴います。
遺品整理業は単なる片付けにとどまらず、買取や廃棄も伴うため、事前に自分の業務範囲を明確にし、それに合った許可を取得することが重要です。違法営業を避けるためにも、許可の必要性は必ず確認してください。
開業資金と助成金の活用法

遺品整理業を始めるには、初期費用や設備投資などの資金が必要です。しかし、国や自治体の助成金・補助金を活用することで、費用の負担を大幅に減らすことも可能です。ここでは、資金面の準備と支援制度の活用方法をご紹介します。
開業時にかかる主な費用の内訳
遺品整理業の開業には、事業規模によって異なりますが、平均して100万円〜300万円程度の初期費用がかかることが多いです。
まず、大きな支出となるのが作業用車両(軽トラックやバン)で、購入またはリースで20万〜100万円程度が必要です。次に、掃除道具や作業着、運搬用の台車やゴミ袋などの消耗品も用意する必要があります。また、事務所を構える場合は家賃や光熱費、内装費なども発生します。
その他にも、名刺やチラシ、ホームページ制作費、広告費といった集客のための費用も見逃せません。加えて、遺品整理士や古物商の資格取得、許可申請にかかる費用も必要です。
自己資金でまかなうだけでなく、助成金の活用や融資制度を視野に入れながら、あらかじめ必要な経費を明確にして資金計画を立てることが、安定したスタートの鍵になります。
活用できる助成金・補助金の種類と申請方法
遺品整理業の開業にあたっては、国や自治体の助成金・補助金を上手に活用することで、費用負担を軽減できます。
代表的な制度に「小規模事業者持続化補助金」があります。これは、ホームページ作成費や広告費などに最大50万円(補助率2/3)を受け取れる制度で、商工会議所を通じて申請します。ほかにも、自治体が実施する「創業支援補助金」や「創業促進助成金」など、地域ごとに使える制度があります。
申請方法は制度ごとに異なりますが、基本的には事業計画書の作成や見積書の提出が求められます。準備に時間がかかるため、開業前から制度をリサーチしておくことが重要です。
助成金や補助金を活用すれば、初期費用の大きな負担を減らすことが可能です。最新の情報は各自治体や中小企業庁の公式サイト、商工会などで確認しましょう。
遺品整理業の成功に必要な実務知識

遺品整理業を長く続けていくためには、現場での作業技術だけでなく、集客やトラブル対応といった実務面の知識も欠かせません。ここでは、実際に経営していくうえで知っておくべき重要なポイントを2つに絞って解説いたします。
集客に効く広告・Web活用の基本
集客は遺品整理業の成功を左右する重要な要素です。
まず、地域密着型のビジネスであるため、自社のホームページを作成し、「遺品整理+地域名」などの検索で見つかるようSEO対策を行うことが基本です。特に、料金表や対応エリア、実績紹介、お客様の声をわかりやすく掲載することで信頼度が高まります。
次に、Googleマップへの登録(Googleビジネスプロフィール)も効果的です。地元で「遺品整理 業者」などと検索されたときに上位表示されるため、無料でできる重要な施策です。
また、チラシのポスティングや地域情報誌への広告掲載も、高齢者やネットを使わない層への訴求に有効です。
Webと紙媒体の両方を活用しながら、地域に根ざした信頼性のある情報発信を続けることが、安定した集客につながります。
クレーム・トラブルを防ぐ現場対応のコツ
遺品整理業では、遺族の感情に寄り添う仕事であるため、些細な行き違いが大きなトラブルに発展することもあります。
まず、作業前には必ず見積書を明示し、「何をどこまで行うのか」「どの作業が有料か」などをしっかり説明してください。口頭だけでなく書面で残すことがトラブル防止の基本です。
次に、作業中は丁寧な言葉遣いと態度を心がけ、遺族の感情に配慮した対応を大切にしましょう。物品の扱い方や処分の判断に迷った場合は、必ず確認をとってから行動することが重要です。
また、作業後には必ず「最終確認」を行い、作業内容や片付け状況を依頼者と一緒にチェックしてください。
丁寧な説明・確認・対応を徹底することが、信頼を生み、クレームのない業務運営につながります。トラブルの防止は、実績と紹介を増やす大きな要因にもなります。
まとめ
遺品整理業は高齢化社会の進行により、今後も需要が拡大すると見込まれている注目の業種です。開業スタイルには「独立」と「フランチャイズ」があり、それぞれメリットとデメリットがあります。開業に必要な資格には遺品整理士や古物商許可などがあり、扱う業務によって適切な許可を取得することが大切です。
また、開業資金は100万円以上かかることもありますが、国や自治体の助成金を活用すれば負担を軽減できます。さらに、集客や現場での対応力も成功には欠かせません。信頼される業者を目指すには、準備と実行の両面が求められます。




