遺品整理を行う際、もっとも注意すべきトラブルのひとつが「ネコババ」です。ネコババとは、現金や貴重品を勝手に持ち帰る行為のことで、業者や親族など誰が加害者になるか分かりません。実際に、整理後に大切な遺品が消えていたという被害も報告されています。
この記事では、ネコババが起こる原因やよくある手口、予防のために依頼前にできる対策、そして被害にあったときの対応方法まで詳しく解説します。安心して遺品整理を進めるために、ぜひ最後までお読みください。
ネコババとは?遺品整理で起こる典型的なトラブルとは

遺品整理では、現金や貴金属などの貴重品が無断で持ち去られる「ネコババ」行為が問題となることがあります。家族や業者によって起きることもあり、知らない間に大切な遺品が消えてしまうトラブルにつながります。
ネコババの定義と実際の被害事例
ネコババとは、他人の物を拾ったり見つけたりしたときに、正当な手続きや許可なく、自分のものとしてしまう行為を指します。遺品整理の場では、故人の所有物を無断で持ち去ることがネコババにあたります。
たとえば、遺品整理を業者に依頼した家庭で、作業終了後に貴金属や古銭がなくなっていることに気付き、後日監視カメラの映像で作業員がポケットに入れていたことが発覚した事例があります。また、親族間でも「故人から生前にもらった」と主張して高価な腕時計を勝手に持ち帰るトラブルも報告されています。
こうしたケースでは、物の所在が不明になるだけでなく、家族間の信頼も損なわれてしまいます。ネコババは故意にせよ軽い気持ちにせよ、重大な問題です。遺品整理では、貴重品や思い出の品を大切に扱う責任があることを意識する必要があります。
窃盗との違いと法的リスク
ネコババと似た言葉に「窃盗」がありますが、法律上は異なる行為として扱われます。窃盗は他人の所有物をこっそり盗むことで、刑法235条により10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
一方、ネコババは「占有離脱物横領罪」と呼ばれ、持ち主が分かっている物を勝手に持ち去った場合に適用され、刑法254条により1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。たとえ身内でも、遺品を勝手に持ち出すと違法行為になるのです。
また、発覚すれば警察に通報されるだけでなく、家族間の裁判に発展することもあります。遺品整理では、相続人全員の同意を得たうえで物を処理する必要があり、「もらったつもり」や「知らなかった」は通用しません。後々のトラブルや法的責任を避けるためにも、慎重な対応が求められます。
ネコババされやすい遺品の種類と保管場所の傾向

遺品整理においては、特定の種類の遺品や保管場所が特にネコババの対象となりやすい傾向があります。事前に何が狙われやすいのかを理解し、対策を講じることで、トラブルの予防につながります。
狙われやすい遺品の代表例(現金・貴金属・端末など)
ネコババされやすい遺品には、すぐに持ち運べて価値があるものが多いです。特に現金は最も狙われやすく、タンスや封筒の中に隠してあった札束がなくなっていたという事例も珍しくありません。
次に多いのが、指輪やネックレスなどの貴金属類です。金属の価値が高く、リサイクルショップでも換金しやすいため、ターゲットにされがちです。また、スマートフォンやノートパソコンといった電子端末も注意が必要です。
中にある個人情報やデジタル資産が狙われる可能性があり、持ち出された場合は被害が拡大することもあります。時計やブランドバッグ、骨董品も高額査定されやすいため、油断できません。
これらのアイテムは、故人の生活の中で普通に使われていたため、他のものと一緒に見落としがちです。遺品整理の際には、これらの「価値ある品物」に特に注意を払って管理する必要があります。
保管場所の特徴と注意すべきポイント
ネコババされやすい遺品は、保管されている場所にも特徴があります。代表的なのは、寝室にあるタンスや引き出しです。現金や宝飾品がまとめて入れられていることが多く、「いつもの場所」に隠されていることが多いため、簡単に発見されてしまいます。
また、書斎や本棚の奥にしまわれた封筒や、古い本の間に現金が挟まれていることもあり、これらは意図せずネコババされやすい場所です。意外と見落とされがちなのが、押し入れや倉庫、物置の段ボール箱です。一見ガラクタに見えても、その中に高価な品が入っている場合があり、業者や親族がチェックせずに「これは不要品だ」と持ち帰ってしまうこともあります。
さらに、冷蔵庫の上や家具の隙間など、隠し場所として使われやすい場所も警戒が必要です。ネコババを防ぐには、こうした場所を作業前にチェックしておくとともに、家族で共有しておくことが大切です。
ネコババが起きやすいタイミングと加害者の傾向

遺品整理中にネコババが発生しやすいタイミングや、加害者としてよく見られる人物の傾向には特徴があります。こうしたパターンを把握しておくことで、未然にトラブルを防ぐことが可能になります。
業者によるケースの特徴と手口
遺品整理業者によるネコババは、作業中の無断持ち出しという形で行われることが多いです。特に立ち会いがない場合や、複数の作業員が出入りする状況では、不正行為を見抜くのが難しくなります。
実際に、整理後に「現金封筒が消えていた」「貴金属が見当たらない」といった被害が報告されており、監視カメラの映像で持ち出しが確認された例もあります。業者によっては「これは不用品だと思った」と言い訳することもありますが、実際には価値のあるものを狙っていたケースが少なくありません。
また、無料回収や買取サービスを提供する業者の場合、相場よりもはるかに安く価値ある遺品を引き取ってしまうこともネコババの一種といえます。こうしたリスクを避けるためには、信頼できる業者を選ぶこと、可能な限り立ち会いを行うこと、そして事前に貴重品を把握・記録しておくことが重要です。
親族・知人によるケースの特徴と注意点
遺品整理では、親族や知人によるネコババも意外と多く発生しています。特に「身内だから大丈夫」と油断してしまう場面で起こりがちです。
よくあるケースとしては、「故人から生前にもらった」「形見分けのつもりだった」といった理由を付けて、高価な時計や貴金属、現金などを無断で持ち帰る行為です。中には、遺品整理を手伝うふりをして、隙を見て狙っていた物を持ち去る例もあります。
また、相続に関する認識の違いから「これは自分の権利だ」と独断で持ち帰るケースも報告されています。こうしたトラブルは、家族間の信頼関係を壊すだけでなく、相続争いにも発展する可能性があります。
防止のためには、遺品整理の前に「何を誰が持つのか」を明確に話し合っておくことが効果的です。また、整理中は第三者の立ち会いをお願いする、貴重品は事前に分けておくなどの対策も有効です。親しい関係でも、ルールを決めておくことが大切です。
ネコババを防ぐために依頼前にできる対策

遺品整理にともなうネコババを防ぐためには、業者に依頼する前の準備がとても重要です。特に貴重品の管理や事前の記録・ルール作りによって、トラブルのリスクを大きく減らすことができます。
貴重品の分別・移動・写真記録のすすめ
遺品整理を始める前に、貴重品をあらかじめ分けておくことで、ネコババのリスクを大幅に減らすことができます。まず、現金や通帳、宝石、ブランド品などの価値の高い品を一箇所に集め、家族で共有して確認しましょう。
そのうえで、これらの品を安全な場所に移動させておくことが大切です。万が一、整理中に紛失しても、「もともとどこに何があったか」を証明できるよう、写真を撮って記録しておくことをおすすめします。写真には、品物だけでなく、保管場所や状態も一緒に写しておくとさらに有効です。
また、スマートフォンやUSBメモリなどデジタル機器には重要な個人情報が含まれているため、必ず整理前に内容を確認し、必要に応じてデータをバックアップしておくと安心です。このように、貴重品の分別・記録を行うことで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
遺品リストと同意書の作成方法
遺品整理をめぐるトラブルを防ぐには、家族や関係者間での合意形成が欠かせません。そのために効果的なのが「遺品リスト」と「同意書」の作成です。遺品リストとは、遺品の内容や保管場所、価値、形見分けの希望などを一覧にまとめたものです。
これにより、誰が何を受け取るのかを可視化でき、後の誤解やトラブルを避けやすくなります。同意書には、作成した遺品リストに基づき、関係者全員が内容に同意したことを署名・押印によって記録します。これがあることで、「そんな話は聞いていない」「勝手に持ち帰った」といった言い分を防ぐことが可能です。
作成時には、親族全員が集まれる場で話し合いを行い、リストと同意書の内容を確認しながら進めるのが理想的です。特に高額な品や故人の思い出が強い品物については慎重に扱うべきです。このような書面の準備は面倒に思えるかもしれませんが、将来的な家族のトラブルを防ぐための大切なステップです。
安心して任せられる遺品整理業者の見極め方

ネコババなどのトラブルを避けるためには、信頼できる遺品整理業者を選ぶことが何より大切です。口コミや資格、契約内容などをしっかり確認し、納得して依頼できる業者を選びましょう。
口コミ・実績・資格のチェックポイント
遺品整理業者を選ぶ際は、信頼できるかどうかを見極めることがとても重要です。まず注目したいのは「口コミ」です。インターネットのレビューサイトやSNSで、実際にその業者を利用した人の体験談を確認することで、サービスの質や対応の丁寧さを把握できます。
また、自治体など公的機関からの推薦があるかも確認ポイントです。次に「実績」ですが、過去の対応件数や運営年数が長い業者は、信頼性が高い傾向にあります。さらに「遺品整理士認定協会」などの公的な資格を持つスタッフが在籍しているかも重要な要素です。
資格の有無は、業者の専門性や誠実な対応力を判断する材料になります。加えて、「一般廃棄物収集運搬業許可」を持っているかも確認しておくと安心です。
これらの情報は、業者の公式サイトやパンフレットに掲載されていることが多いため、事前にじっくり確認することをおすすめします。
トラブルを防ぐ見積もりと契約の確認項目
トラブルを未然に防ぐには、業者との見積もりや契約内容をきちんと確認することが不可欠です。まず大切なのは「見積書の内訳」です。料金の内訳が明確に書かれているか、何にいくらかかるのかがはっきりしているかを確認しましょう。
あいまいな表現がある場合は、口頭でなく書面で詳細を尋ねることが大切です。また、「追加料金が発生する条件」も必ず聞いておく必要があります。作業後に想定外の費用を請求されるケースもあるため、事前に明示されているかが安心材料になります。
さらに「キャンセル規定」や「支払い方法(現金・クレジット・後払いなど)」の確認もしておきましょう。契約書を交わす際には、口頭での説明だけでなく、書面での取り決めがされているかを必ずチェックしてください。すべてに納得したうえで署名することが、後悔しない遺品整理への第一歩です。
万が一ネコババされた場合の正しい対応手順

ネコババの被害が発覚した場合は、感情的にならず、冷静に法的な手順を踏むことが大切です。証拠を確保しつつ、警察や弁護士に相談することで、被害を最小限にとどめることが可能です。
警察・弁護士への相談と被害届の出し方
ネコババの被害に気づいたときは、まず冷静に状況を整理し、警察や弁護士へ相談することが大切です。たとえば、貴重品が消えていたり、誰かが無断で持ち帰っていたことが判明した場合、それは窃盗や占有離脱物横領に該当する可能性があります。
最初にすべきは、警察への相談です。状況を正確に伝えることで、被害届の提出が可能か判断してもらえます。被害届を出す際には、なくなった物の種類・価値・保管場所・最後に確認した日など、できるだけ詳細な情報をまとめておくとスムーズです。
また、弁護士に相談することで、法的な対応の方向性や、損害賠償請求などの手段も検討できます。特に親族間のトラブルは感情が絡みやすいため、第三者の冷静な視点が不可欠です。泣き寝入りせず、正しい手順で対応することで、問題解決への一歩となります。
証拠の保全と第三者の立ち会いの重要性
ネコババ被害が疑われる場合には、「証拠を確保すること」が最も重要です。証拠がなければ、警察や弁護士も適切な対応が難しくなるため、まずは状況を客観的に記録することから始めましょう。
たとえば、遺品の写真や整理前の状態を記録した映像、作業中の立ち会い記録、業者とのやり取りの履歴(メール・LINE・録音など)などが有効です。また、遺品が紛失したタイミングや周囲の状況を詳細にメモしておくことも大切です。
さらに、遺品整理当日は可能であれば「第三者に立ち会ってもらう」ことを強くおすすめします。家族だけでなく、信頼できる友人や行政書士などが立ち会うことで、公平な視点が加わり、トラブル時の証人にもなってくれます。
事後対応でも、証拠と立ち会い記録があれば、相手に対して明確に事実を示すことが可能です。予防と対処、どちらの面でも第三者と記録は心強い味方になります。
まとめ
遺品整理の現場では、現金や貴重品を無断で持ち去る「ネコババ」行為が実際に発生しており、トラブルの原因となっています。特に立ち会いがない場合や、親族・知人による無断持ち出しには注意が必要です。
こうした被害を防ぐためには、事前に貴重品を分けておいたり、写真で記録したり、遺品リストを作成して家族で共有することが効果的です。また、信頼できる遺品整理業者を選ぶことも重要です。口コミや資格、見積もり内容をしっかり確認し、契約前に不明点をクリアにしておきましょう。
万が一トラブルが発生した場合は、証拠を保全し、第三者を交えて警察や弁護士に相談することで、冷静かつ適切に対処できます。この記事を参考に、安心して遺品整理を進められるよう準備を整えてください。




